2018年2月9日金曜日

丈助氏によるRaphnetV3 コンバータの紹介及びレビュー

本記事はスマブラプレイヤーの丈助氏からの寄稿です。
氏は伝説のコンバータといえるAdaptoidのユーザーでもあるので、コンバータについて気になる方は是非ご一読ください。



【関連記事】
 【N64コンバータ】Raphnet N64 to USB adapter - V3   ←専用インプットプラグインの入れ方・ファームウェアアップデートについてはこちら!

【コンバーター入手先】
公式(製造元)サイト: http://www.raphnet-tech.com/products/n64_usb_adapter_gen3/index_ja.php ←PayPalで買えます!




当記事の概要

RaphnetV3は、かつてRaphnetから販売されていたコンバータから大幅に機能改善されたもので、非常に遅延が少なく、操作感の良いコンバータです。筆者の環境(Windows10 64bit)ではAdaptoidよりもレスポンスが良く、実機に近い操作が可能です。

RaphnetV3は応答速度と操作性を高めるための専用インプットプラグインを提供しているのですが、専用インプットプラグインを使用すると、RaphnetV3を使用していない相手とネット対戦をする際に「相手にインプットプラグインでRawDataにチェックを入れてもらう」という面倒な手順が必要であり、機能性は高いが不便という印象でした。

しかし実際は、普通のコンバータと同じように、相手にRawDataのチェックという負担を強いることなく、普通にネット対戦で使うことも可能なコンバータであるということが分かりました。

RaphnetV3の購入を考えている方の参考になるように、RaphnetV3の性能や使い方、そして注意点など、現時点で分かっている情報をまとめておきたいと思います。


RaphnetV3の使用感について

操作性について

一般的に、N64コントローラをコンバータを通して接続する場合、スティックを同じ角度で倒したとしても、内部的には同じ入力値にはならないことが知られています。

例として、同じ入力をしていても実機とネットでは
  • ずらしで移動する距離
  • 斜めスティック大ジャンプの高さ
  • ピカチュウやフォックスの上Bで移動する角度
が異なります。

RaphnetV3は専用インプットプラグインを使うことで、ネットでもN64コントローラで実機と同じ入力値を再現できます。実際の使用感はまさに実機そのものという感じで、おそらく現在入手可能な他の全てのN64コンバータよりも操作性は優れていると思われます。



また、専用インプットプラグインを使わずに従来のインプットプラグインでRaphnetV3を使用することも可能です。その際でも、RaphnetV3はスティックを回転させた際の入力がほぼ円形で入るので、入力が四角で入るコンバータよりは実機に近い入力になります。

応答速度(操作遅延)について

RaphnetV3の応答速度を調べたところ、筆者の環境では、Adaptoidと同等かそれ以上という結果になりました。専用インプットプラグインを使用した際は確実にAdaptoidよりもレスポンスが良く、従来のプラグインを使用してもAdaptoidと同等かという感じでした。

Retroportとの遅延の比較は行っていませんが、Adaptoidはかなり応答速度が優秀なコンバータなので、それと同等以上のレスポンスを叩き出せるRaphnetV3は、N64コンバータとしては優秀な部類と言えるでしょう。

専用インプットプラグインは、スティック入力が実際に画面に反映されるまでの内部処理の一部をスキップする機能を持っているため、理論上は従来のインプットプラグインより入力が素早くなります。その代わり、入力が直接エミュレータの方に反映されるためか、InputDisplayなど入力を表示するツールで操作情報を表示することは不可能になります。

また、専用インプットプラグインと従来のインプットプラグインの遅延の差は、専用インプットプラグインで遅延2~3Fで安定していたものが、従来のインプットプラグインでは3Fの頻度が増える程度の違いでした。実用上ではどちらのプラグインを使用しても快適な操作が可能です。

ホリコンも使える

RaphnetV3はHORI製のミニパッド(通称ホリコン)をサポートしています。実際にホリコンを使ってみましたが、問題なく使用可能でした。

サードパーティ製のコントローラをどこまでサポートしているかは調査中ですが、少なくともホリコンは確実に動作するはずです。


RaphnetV3とインプットプラグインのお話

お互いにRaphnetV3と専用インプットプラグインを使用している際は問題ありませんが、どちらか片方だけがRaphnetV3専用インプットプラグインを使用している場合、お相手の方に従来のインプットプラグインの設定画面でRawDataにチェックを入れてもらわないと正常に対戦ができないという面倒な事情があります。


▲本来はRawDataのチェックは外さなければならないところだが…

専用インプットプラグインを使用する際には、名前にRaw等と表示したり、直接チャットで伝えるなどして、相手にRawDataにチェックを入れてもらう必要がありますが、そのやり取りが面倒な場合は、普通のインプットプラグインでRaphnetV3を使うことも可能です。

専用インプットプラグインを使わなければ、従来のコンバータと同じようにRawDataにチェックを入れることなく、普通に対戦することが可能です。ちなみにその方法を先に言うと、N-Rage Direct-Input8 V2を使うだけです。

RaphnetV3がN-Rage`s Direct-Input8 1.61で認識されない問題


▲コントローラ自体は認識されるが、何故かインプットプラグインの設定画面では、デバイスとして認識されないことがある

人によって起こったり起こらなかったりするので原因不明ですが、一般的に使われているインプットプラグインのN-Rage`s Direct-Input8 1.61では、何故かRaphnetV3が認識されない場合があります。

原因不明ですが、海外勢でこの症状に陥った方が見受けられないということから、フォルダやユーザー名で日本語(2バイト文字)が使われている場合、何かこういった不具合を引き起こすのではないかという推測があったりなかったりします。

認識される方は特に何もせずともアッサリと認識されるのですが、一度引っかかると解決するのは非常に難しいと思いますので、その場合は次に紹介するプラグインを使用してください。

N-Rage`s Direct-Input8 V2でRaphnetV3を使う方法

100%確実にこの方法でRaphnetV3が読み込めるとは保証できませんが、筆者の環境では、異なるインプットプラグインを使用することで、RaphnetV3が認識されました。

というわけで、相手にRawDataをチェックさせる手間を省きたいけど、インプットプラグインでRaphnetが認識されなくて設定ができないという方は、こちらのインプットプラグインを試してみてください。

まずは、N-Rage Direct-Input8 V2の最新版をダウンロードします。Latest Plugin Versionが最新版です。Download Hereをクリックしてダウンロードしてください。解凍したら、中に入っているNRage_DInput8_V2.dllを、Project64kのPluginフォルダに置きます。



その後、Project64を開き、[オプション]>[設定]から設定画面を開き、Input PluginのところをN-Rage`s Direct-Input8 V2に変更します。

その後、インプットプラグインの設定を開きます。



Controller1の設定をします。

Pluggedにチェックを入れ、ボタンとスティックの割り当てを行います。

Analog StickのRangeは、大体63%から67%の間で、自分の好みに合う数値を探ることになると思います。筆者が最も推奨する数字は65%です。
Analog Stick Range:65%の設定で実際に対戦を行ったところ
ずらしに違和感を感じたので、より詳細に値を検証してみました。
64スマブラでは、スティックの入力値は
キャラ選択画面のカーソルの移動速度で見ることが可能です。
そこで、キャラ選択画面でスティックを真上、右上、右に倒した時に、
カーソルが画面端に到達するまでのフレームを計測してみました。
1F単位の正確な数値にはあまり意味がないのですが、
便宜上、カーソルが表示されたフレームを0F目として計測しています。
また、斜め入力は、1つ目の数字が上に到達したフレーム、2つ目の数字が右に到達したフレームになっています。正確な計測が難しく、数回計測しました。
◆実機
上  37F 
斜① 48F 78F
斜② 48F 77F
横  62F
◆PJ RaphnetV3専用プラグイン
上  36F
斜① 45F 76F
斜② 45F 70F
斜③ 49F 75F
横  62F
(備考)
PJの方がFPSが若干高いので、上と横のフレームが完全に一致しないのは計測誤差と考えられる。
斜め入力に関しては、数字を見ると完全に一致とは言い難いが、
計測方法の不正確さを表しているとも考えられる。

◆PJ N-Rage Input Plugin V2 Analog Stick Range:65%
上 38F
斜 43F 71F
横 59F
(備考)
前回、Analog Stick Rangeを65%に設定する時は、斜めジャンプの高さで計測を行った。
しかし実際にカーソルの移動速度を計測してみると、
横と斜の入力値はほんの少しだけ敏感という程度で収まっているが、
上入力は明らかに入力値が足りていないことが判明した。
上入力値が不足しないようにRangeを調整すると、
筆者の環境では67%が最適という結論になった。
なお、その際の横方向のカーソルは58F、
斜のカーソルは41F 63Fという結果になった。 
まとめると、このようになった。
◆PJ N-Rage Input Plugin V2 Analog Stick Range:67%
上 36F
斜 41F 63F
横 58F
専用プラグインと比べると若干横方向が敏感になってしまっているが、
専用プラグインを使わない時のコンバータのインプットは円形であり、
実機のインプットは微妙に縦長になっているため、
これくらいの入力が妥協点ではないかと思います。 
前回、若干入力値の足りない数値を推奨値として紹介してしまい、誠に申し訳ありませんでした。

Real N64 Rangeのチェックは入れない方が良いでしょう。これは斜め入力時の値を削ることで操作感を実機に近づけようという機能ですが、RaphnetV3では逆に実機とは相当かけ離れた入力になります。Adaptoidなど、スティックを回転させた時の入力が四角のコンバータで無ければ試す価値はありません。



Devicesのタブで、N64 to USB v〇〇というのがRaphnetV3なので、デバイスとして設定します。最後についている数字が若いという方やデバイスが認識されないという方は、ファームウェアのアップデートを推奨します。それでも認識されない場合は、申し訳ありませんが現時点では解決法が分かりません。

特に思うところが無ければ、DeadZoneを0%にします。

Rumbleは振動パックに関する設定項目なので、いじる必要はありません。



Controller Pakの設定項目では、RawDataのチェックが外れていること、ボックスがNoneになっていることを確認してください。

ここまで来たら設定完了です。Save Profileで設定ファイルを保存しておくことを推奨します。Saveボタンを押して設定を保存してください。


以上でRaphnetV3のN-Rage Input Plugin V2での設定は完了です。

RaphnetV3の使用者以外と対戦する際は、こちらのインプットプラグインを使うことで、相手にRawDataをチェックしてもらうという手間をかけることなく、普通に対戦できるようになります。


RaphnetV3の使用感についてのまとめ

専用プラグインで実機の入力をエミュレータで再現できるというのが最大の売り文句かと思いますが、普通のインプットプラグインで使ってもレスポンスが非常に良く、操作性も非常に良いコンバータです。

RetroPortと比べると使いまわしに手間のかかる印象ではありますが、機能的には決して見劣りするものではなく、RawDataのチェックを強要するという問題も(おそらく)解決できたため、自信を持ってオススメできるコンバータになったと思います。

専用インプットプラグインでの操作性も素晴らしいですが、従来のインプットプラグインでの操作性も普通に良く、何も知らなければ特に見劣りするということも無いでしょう。

専用インプットプラグインで運用するのも良いですが、普通にレスポンスの良いコンバータとして、従来のインプットプラグインで使用するだけでも十分使用価値があるかと思います。

私たちが普段使っているインプットプラグインで認識されない理由が解明されれば、より使いやすいコンバータになると思いますが、現時点では別のインプットプラグインを使うという解決策があるため、これ以上の検証は一旦ストップとしたいと思います。

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